共済年金制度のあらまし
遺族厚生年金
支給要件
遺族厚生年金は、亡くなった方が次のいずれかに該当したときに、その方によって生計を維持していた遺族の方に支給されます。
① | 被保険者(組合員)の方が在職中に亡くなったとき | |
② | 被保険者(組合員)であった方が退職後に、被保険者(組合員)であった間に初診日がある傷病が原因で、初診日から5年以内に亡くなったとき | |
③ | 障害等級が1級又は2級の障害厚生年金等の受給権者の方が亡くなったとき | |
④ | 受給資格期間(※)が25年以上ある方(被保険者(組合員)であった方及び年金受給者)が亡くなったとき | |
※受給資格期間… | 年金を受け取るために必要な期間をいいます。 老齢給付と異なり、原則として保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が25年以上必要です。 |
遺族厚生年金は、上記支給要件の①、②又は③に該当した場合の年金額と④に該当した場合の年金額とでは、年金額の計算方法が異なります。支給要件の①、②又は③に該当し、かつ、④にも該当するときは、いずれか有利な方を選択できます。
年金額
遺族厚生年金の額は、次のⒶとⒷとⒸの合計額となります。
なお、経過的職域加算額は、平成27年9月以前の組合員期間を有する方が死亡した場合に支給されます(業務遺族年金を受給する場合を除きます。)。
① 報酬比例部分の額
(注) 1 | 平均給料月額は平均標準報酬月額と、平均給与月額は平均標準報酬額とみなされます。 |
2 | 平均標準報酬月額、平均標準報酬額については毎年度再評価されます。 |
3 | 支給要件の@、A又はBに該当する場合で、被保険者(組合員)期間が300月(25年)未満のときは、300月とします。 |
4 | 遺族厚生年金を受給する65歳以上の配偶者のうち、老齢厚生年金その他の退職又は老齢を給付事由とする年金(以下「老齢厚生年金等」という)の受給権を有する方は、次のア、イを比較していずれか高い方の額を遺族厚生年金の額とします。 ア.上記の計算で算出した遺族厚生年金の額 イ.上記の計算で算出した遺族厚生年金の額の3分の2+自身の老齢厚生年金等の額の2分の1 |
なお、経過的職域加算額については、下記の計算式で求めます。
(注) 1 | 平均給料(与)月額については毎年度再評価されます。 |
2 | 支給要件の@、A又はBに該当する場合で、被保険者(組合員)期間が300月(25年)未満のときは、300月とします。 |
中高齢寡婦加算
① 40歳以上65歳未満の妻に対する加算
遺族厚生年金(支給要件の④に該当することにより支給される遺族厚生年金の場合、その額の計算の基礎となる被保険者(組合員)期間が20年以上であるものに限られます。)の受給権者である妻であって、その権利を取得した当時40歳以上65歳未満であった方又は40歳に達した当時に遺族基礎年金の支給対象となる子と生計を同じくしていた方が65歳未満であるときは、遺族厚生年金に612,000円が加算されます。この加算額を「中高齢寡婦加算」といいます。
なお、子のある妻については、妻の年齢が40歳以上であれば、子が18歳の誕生日の属する年度の年度末(障害の状態にある子は20歳の誕生日)に達して遺族基礎年金が支給されなくなった月から、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が加算されます。
② 65歳以上の妻に対する加算
中高齢寡婦加算を受けている妻が65歳に達すると、中高齢寡婦加算は打ち切られ、老齢基礎年金が支給されます。
ただし、昭和31年4月1日以前に生まれた妻の場合には、国民年金の加入期間が短いため、老齢基礎年金の額が中高齢寡婦加算の額より低額となる場合があります。
そこで65歳以上になっても、その方の受ける年金の額が低下しないよう、生年月日に応じて遺族厚生年金に経過的加算額が加算されます。
加算額 = 610,300円 - (813,700円 × 妻の生年月日に応じて次表に定める率)
遺族厚生年金の経過的加算
妻の生年月日 | 割合 | 経過的寡婦 加算額(年額) |
---|---|---|
昭和26年4月2日〜昭和27年4月1日 | 480分の300 | 101,737円 |
昭和27年4月2日〜昭和28年4月1日 | 480分の312 | 81,395円 |
昭和28年4月2日〜昭和29年4月1日 | 480分の324 | 61,052円 |
昭和29年4月2日〜昭和30年4月1日 | 480分の336 | 40,710円 |
昭和30年4月2日〜昭和31年4月1日 | 480分の348 | 20,367円 |
昭和31年4月2日以後 | − | − |
支給停止
① | 遺族厚生年金の受給権者の方が夫(遺族基礎年金の受給権を有する期間を除く。)、父母又は祖父母であるときは、60歳に達するまで年金の支給が停止されます。 |
② | 遺族厚生年金の受給権者の方が65歳に達しており、かつ、老齢厚生年金の受給権を有するときは、当該老齢厚生年金の額に相当する部分の支給が停止されます。 |
詳細は「65歳以上の遺族厚生年金の受給者の方に係る併給調整の特例」参照 |
遺族厚生年金の失権
遺族厚生年金の受給権者の方が次のいずれかに該当したときは、受給権が消滅します。
①亡くなったとき
②婚姻をしたとき(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含みます。)
③直系血族及び直系姻族以外の方の養子となったとき(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある方を含みます。)
④亡くなった被保険者(組合員)であった方との親族関係が離縁によって終了したとき
⑤遺族厚生年金の受給権を取得した当時、子のいない30歳未満の妻が、遺族厚生年金の受給権を取得した日から子のいないまま5年を経過したとき
⑥子のいる30歳未満の妻が、30歳に達する前に子の死亡、離縁等の理由により遺族基礎年金の受給権を失った日から5年を経過したとき
⑦子又は孫が18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき(障害等級が1級又は2級に該当する障害の状態である子又は孫は除きます。)
⑧障害等級が1級又は2級に該当する障害の状態にある子又は孫が20歳に達したとき
⑨父母、孫又は祖父母について、被保険者(組合員)の死亡当時に胎児であった子が出生したとき
業務遺族年金(年金払い退職給付)
支給要件
業務遺族年金は、組合員又は組合員であった方が次のいずれかに該当するときに、その方によって生計を維持していた遺族に支給されます。
①組合員が業務上の病気又はケガ(業務傷病)により死亡したとき
②組合員が退職後、組合員期間中に初診日※がある業務傷病により、初診日※から5年以内に死亡したとき(1年以上の引き続く組合員期間を有し、公的年金の加入期間が25年以上ある方の場合は、組合員が退職後、組合員期間中に初診日※がある業務傷病により死亡したとき)
③1級又は2級の「業務障害年金」の受給権者が、受給権発生の原因となった業務傷病により死亡したとき(1年以上の引き続く組合員期間を有し、公的年金の加入期間が25年以上ある方の場合は、「業務障害年金」の受給権者が、受給権発生の原因となった業務傷病により死亡したとき)
なお、通勤災害は対象となりません。
※ | 初診日は、平成27年10月1日以降である必要があります。 |
年金額
※1 | 業務遺族年金算定基礎額 |
@ | 組合員期間が300月未満の場合 |
A | 組合員期間が300月以上の場合 |
* | 退職年金の受給権者である場合、給付算定基礎額は次のとおりとなります。 |
(1) | 組合員期間が10年未満の場合 |
(2) | 組合員期間が10年以上の場合 |
※2 | 業務遺族年金額の計算における年齢については、終身退職年金と同様です。 |
業務遺族年金の最低保障額
業務遺族年金の額が1,038,100円に国民年金法に定める改定率を乗じて得た金額から厚生年金相当額※を控除して得た金額より少ないときは、その控除して得た金額が業務遺族年金の額となります。
※ | 厚生年金相当額とは、業務遺族年金の受給権者が受ける権利を有する、遺族厚生年金、老齢厚生年金、障害厚生年金等のうち最も高い額とされています。 |
業務遺族年金の支給停止
業務遺族年金は、次の場合に支給が停止されます。
① | 業務遺族年金の受給権者の方が夫(遺族基礎年金の受給権を有する期間を除く。)、父母又は祖父母であるときは、60歳に達するまで年金の支給が停止されます。 |
② | 子に対する業務遺族年金は、配偶者が業務遺族年金を受ける権利を有する間、支給は停止され、その間は配偶者に支給されます。ただし、配偶者に対する業務遺族年金が支給を停止されている場合は、子に支給されます。 |
③ | 配偶者に対する業務遺族年金は、組合員又は組合員であった方の死亡について、配偶者が国民年金法による遺族基礎年金を受ける権利を有しない場合であって、かつ、子が当該遺族基礎年金を受ける権利を有するときは、その間その支給が停止され、また停止されている間、その分は子に支給されます。ただし、子に対する業務遺族年金が次の理由によりその支給を停止されている間は、配偶者に支給されます。 |
受給権者が1年以上所在不明である場合
業務遺族年金の受給権者が1年以上所在不明である場合には、同順位者があるときは同順位者の申請により、その所在が不明である間、当該受給権者の受けるべき業務遺族年金の支給を停止することができます。その停止している間、その年金は、同順位者から申請があったときは同順位者に支給されます。
労働者災害補償保険法などによる補償の調整
業務遺族年金と同一の給付事由に基づく労働者災害補償保険法による遺族補償年金などが支給されるときは、遺族補償年金などの一部が支給停止されます。
業務遺族年金の失権
業務遺族年金の受給権者の方が次のいずれかに該当したときは、受給権が消滅します。
① | 亡くなったとき |
② | 結婚をしたとき(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含みます。) |
③ | 直系血族及び直系姻族以外の方の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある方を含みます。)となったとき |
④ | 亡くなった組合員であった方との親族関係が離縁によって終了したとき |
⑤ | 業務遺族年金の受給権を取得した当時30歳未満である妻が、その業務遺族年金と同一の給付事由に基づく国民年金法による遺族基礎年金の受給権を取得しないときは、業務遺族年金の受給権を取得した日から5年を経過したとき |
⑥ | 業務遺族年金とその業務遺族年金と同一の給付事由に基づく国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有する妻が30歳に達する日より前にその遺族基礎年金の受給権が消滅したときは、その受給権が消滅した日から5年を経過したとき |
⑦ | 子又は孫(障害等級が1級又は2級に該当する障害の状態である子又孫は除きます。)が18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき |
⑧ | 障害等級が1級又は2級の障害に該当する状態にある子又は孫(18歳に達した日以後の最初の3月31日までの間にある子又は孫を除きます。)について、障害の状態がなくなったとき |
⑨ | 障害等級が1級又は2級に該当する障害の状態にある子又は孫が20歳に達したとき |